ネック調整 |
||||||||
WARNING:ここで紹介する作業は、お持ちの楽器の状態によって多少のリスクを伴います。作業を実行するに当たっては自己責任でお願いします。初めてロッドを調整する方、事故が有っては困る方は作業をご遠慮ください。 |
||
ギターの修理の基本中の基本。”調整”という名の付く修理では必ず最初にチェックするポイントです。ネックの調整とは弦の張力に対するネックの反発力を適正にする事ですが、どういう時に何を行うのか説明していきたいと思います。 |
||
トラスロッド(アジャストロッド) |
||
ネックの反りを適正な状態にする為にネックの内部にはトラスロッドと呼ばれる棒が仕込まれていて大抵ヘッド、もしくはネックエンドにその先端が出ています。この部分はドライバーやレンチ等で回せるようになっていて、殆どのモデルはこれを時計方向に回す(締める)と逆反り方向に、反時計回り(緩める)で順反りになります。 |
||
フェンダータイプはネックエンドに。ネックを外さないと調整出来ないのが難点。ネックを取り付けてチューニングして確認の繰り返しだ。 |
||||||
左のタイプを改良して、チューニングしたままアジャスト出来るようにしたのがこのタイプ。この形状から'70sのストラトはブレット(弾丸)ヘッドと呼ばれる。 |
||||||
ギブソン系はヘッドのカバーを外すと現れる。アコースティックギターでもこのタイプはよくある。 |
||||||
マーチンスタイルのアコはサウンドホールの中から。レンチの長さが足りない場合が多いので、専用を使うか、パイプ状の物を付け足して回す。僕は輸入ギター用の1/4インチパイプレンチを使ってます。このレンチ、グリップの所までパイプなので。 |
オベーションのエリートタイプ(エポレットサウンドホール)も専用レンチが必要。このほかにも専用レンチを使うギターは結構あって割と高額のモデルに多い。ブレーシングやナット付近の強度を考慮した設計故だ。 |
|||||
ネックエンドにありながら非常に操作しやすいタイプ。棒を突っ込んで回すのでインチもミリも関係なし。2〜2.5mm程度の六角レンチをよく使ってます。 |
||||||
代表的なギターのロッドのサイズを一覧にしてみました。参考にして下さい。同じブランドでもモデルやOEM生産等工場の違いによって仕様変更等が考えられるので、購入の際はメーカーに問い合わせてサイズを確認して下さい。 |
||
ネックの反りの見方 |
||
写真1 順反り ブリッジ側から |
|||||||||
写真2 順反り ナット側から |
|||||||||
ネックの見方で間違いやすいのが指板のエッジを見てしまう事です。新しいギターならまだしも、使い込んでエッジが擦り減っているネックは適正な状態でも曲がって見えます。勘違いし易いのでここは見ないで下さい。また、ネックに荷重がかかるような持ち方もNGです。ナット側から見る時は、明るい方を向きギターを垂直に立ててヘッド部を支える持ち方。ブリッヂ側から見る時はボディーを持って、水平に寝かせて目の位置まで持ち上げるのが一般?的です。 |
|||||||||||||||||||
写真3 修正後 弦高もかなり下がった。 |
|||||||||||||||||||
写真4 修正後 |
|||||||||||||||||||
写真5 ナット側から見るとこのような状態。一見順反りのようだが |
写真6 ブリッジ側からみると5〜7フレット辺りが若干盛り上がっているのが判る。また、ハイポジションでの腰折れも確認出来る |
||||||||||||||||||
写真8 修整後 ブリッジ側から |
|||||||||||||||||||
写真7 修正後 ナット側から |
|||||||||||||||||||
弦をスケール代わりにしたチェック法 |
||
1フレットとネックのジョイント部付近のフレットを同時に押さえて弦とフレットの隙間がどのくらいか見るのも有効です(6〜8f付近で名刺1枚程度が理想)。この方法は最終フレットを押さえる方が多いですが、ここではロッド調整が前提なので腰折れを考慮して最終フレットは押さえません。隙間が全く無く弦とフレットがピッタリ付いていたら逆反りしているとみなします。 |
||||
上の状態を自分の視点で見た図と思って下さい。3弦7フレット上のチェック。まだ弦は押さえていません。弦とフレットに映った弦とに僅かながら隙間が確認出来ます。 |
||||||||
弦を押さえた状態。当然隙間は空いていません。押さえてないのにこの状態だと、逆反りもしくは真っ直ぐ過ぎるという事になります。ロッドを緩めましょう。 |
||||||||
300mmのスケールを使用した逆反りのチェック。腰折れを考慮するとだいたいどのギターも14フレット近辺(ジョイント部辺り)で曲がってるので、それよりハイポジションにスケールが当たらない方が良いです。 |
||||
調整のやり方 |
||
ネックの状態が判ったらいよいよ調整です。作業自体はロッドを回すだけなので、少しずつ反応を見ながら回せば大丈夫。やってはイケナイ事は無理な力をかける事で、動きが固い、もしくは回した分戻ってしまう時はすぐやめましょう。ロッドのネジが錆、汚れ、塗料等で固まっているか既に回し切っているかのどちらかで、無理に動かすとネジを潰したり最悪ロッドを折ってしまいます。 |
||
STEP 1 |
||||
ボルトオン(デタッチャブル)ネックの外し方 |
||||
まず初めにする事はチューニング。反りの具合をしっかり頭に入れておきます。そのままアジャスト出来るならロッドを回してみましょう。30度以内くらいで少しずつ。順反りならば時計方向、逆反りならば反対です。 |
||||||||||||||||
その1 |
||||||||||||||||
その2 |
||||||||||||||||
STEP 2 |
||||||||||||||||
力の入れ具合はクイッと回る程度に。必ずサイズの合った工具を使用して下さい。 |
||||||||||||||||
その3 |
||||||||||||||||
STEP 3 |
||||||||
その4 |
||||||||
視認でちょうどよさそうな状態になったら、スケール等先述の方法で細かくチェックします。回し過ぎていたら戻し、足りなければまた回します。 |
||||||||