フレットの状態(チェックのみ)

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 音がビビる、詰まる等、ギターとしてはよく有る反面かなり困った症状です。演奏出来ない訳ですから。ネックの反りが原因なら”何フレットから上が”とか”ローポジションが”とか複数のポジションで症状が出ますが、特定のポジションだけに支障が出るのはフレットの高さにムラがあるからです。
 稀に、指板をぶつけた等で弦がフレットの所で折れ曲がると同じ症状が出ますが、殆どは フレット交換の頁で紹介しているフレットの”減り”やこれから紹介する”浮き”が主な原因です。
 

フレット浮き

 左の画像は典型的なフレット浮きです。6、7フレットの所を撮ってみましたが、このギターはほぼ全部のフレットが浮いていたので高さにあまりムラが無く音は正常でした。さすがギター。アバウトです。
 比較の為、7フレットを再打ち込みしたのが右の画像です。再打ち込みとはまず一度フレットを抜いて緩くなった溝を補修した後、再び元に戻す作業ですが、この1本だけを修整した状態で弾くとまず間違いなく6弦7フレットはビビります。8フレットも他同様に浮いてましたからそこに弦が当たってしまうのです。
 このギターのように浮きが全体に及んでいる状態ですと、修理内容は全フレットの浮きの修整プラス全面すり合わせとなります。価格面で考えてもフレットの交換をお勧めさせていただく事が多い症状です。

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 フレットの端が跳ね上がるようにして浮き上がる、いわゆる”耳浮き”と呼ばれる状態。1弦側も同様でした。

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 修整後。再打ち込みすると、浮いてないように見えた所もスケールを当てると低くなってたりします。その為最終的に擦り合せで面合わせします。

フレット浮きのチェック

 ネック調整の頁でも触れてますが、適正な弦高や反りの状態を確認する際に勘違いを起こし易いのがフレット浮きという落とし穴。どこをイジるにしても、うっかりこのチェックをし忘れると泣く事になったりします。
 例えばナットの溝の深さは3フレットを押さえて弦と1フレットとの隙間で決めるのですが、2フレットが浮いていると見かけ上”まだ余裕がある”ように見えてしまい深く削りすぎてしまうのです。
 他にもまだまだありますが、それはまた別の機会にしてチェック方法を説明していきましょう。
 まずチューニング。これはどんなチェックでもそう。ネックに張力をかけた状態でチェックしないと正しい判断は出来ません。
 ネックの状態、弦高は正常だとして、次は音でチェック。各弦1フレットずつ、ビビリや詰まりがないかを確認します。この時よくあるのが、普段よりも強い力でピッキングしてしまう事。
 ビビってるか?と感じた時ほど必要以上の力でピッキングしがちです。セッティングによっては、異常が無いのにビビりが出たりするので気をつけましょう。

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写真1

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 さて、怪しい所が有ったら150mmのスケールを使ってどこが高い(もしくは低い)のかを確認します。スケールについては必要なツールをご覧下さい。
 スケールの使い方は何通りかありますが、要はフレットの高さが揃っているかを見れれば良いのです。写真1はローポジション、主に1〜3フレットをチェックしています。スケールをナット方向にスライドさせて(傷が付かないように!)フレットに当たるようならそこが出っ張ってる事になります。これはネックが順反りしていても同じですが、その場合は続いて次のフレットにも当たります。2フレットだけがぶつかり1フレットには当たってない時は、2フレットが浮いているか1フレットが減っているかどちらか。そこを支点にしてシーソーのように動かすとカタカタなる筈です。
 写真2は前後のフレットよりも低い時。隙間が確認出来ます。耳浮きしてるように見えますが、セルの減りによるものです。
 写真3は正常。前後のフレットも同じようにスケールに接していてガタも無い状態。こんな感じで全体を見ていくと高いのか低いのかが判別出来るようになってきます。

写真3

写真2

 スケールは弦のラインに沿って当てます。斜めに当てると指板Rの関係で逆反りしている時のようなカタカタカタという動きをするので注意。
 浮きが複数ある事も珍しくないので必ず前後のフレットはどうなのかを併せて見ていきます。

 ピンポイントで見るとこのフレットが低い事になりますが、実際はこのフレットが正常で、前後が浮いていました。特殊な場合を除けば大抵このパターンです。前後のフレットにまたがらないようにスケールをズラしてみたりいろいろな当て方をしてみましょう。
 確認し易いように後ろに光源を置いてます。