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弦高調整

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 弦高はこうでないとイケナイという決まりはありません。人それぞれ。低いのが好きな人もいれば、高めが好きな人もいます。ただし、低ければ低いなりに、高ければ高いなりに不都合も出てきますので、メーカーでは一番無難な高さにセットして出荷しています。
 しかしながら、無難というのは誰が弾いても” 弾きやすい”という訳ではなく” 不具合が出ないであろう”という意味であって、個人的には少々高めなのでは?と思う事しばしば。
 ここでは僕の経験から得た標準と思しき数字をいくつか紹介します。注:アコースティックギターの調整は初めにナットの状態のページをご覧下さい。

今の弦高はどのくらい

注:話をややこしくしない為、ネック等の状態は正常という前提です。

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 まず初めにする事は、今自分が使っているギターの弦高を確認する作業。今の状態に不満が有っても無くても、今の弦高を知っていて損はないので是非やってみてください。この作業には” スケール(金尺)”という定規を使います。詳しくは” 必要なツール”のページを見てください。

 弦高の測り方は、楽器をチューニングした状態で12Fの真上と弦の間のスペースを測ります。右の画像は6弦の高さを測ったところですが、約2.2mm 位。その下の画像は1弦。約1.5mm .。画像は撮影の関係上1弦側から見てますが、6弦側から測ってOK です。
 この2点がセッティングの基準になり、1弦から6弦にかけて少しずつ高くなっていくのが基本です。1弦と6弦の差は機種によって概ね0.5〜0.8mm位が目安です。

 では、代表的なギターの適正な弦高をいくつか挙げてみましょう。

エレキギター

 フェンダー系  指板R のキツいモデル  6弦:2.2mm 〜 1弦:1.7mm 

 ギブソン系   Rがフラットなモデル  6弦:2.0mm 〜 1弦:1.5mm 

ベース                  4弦:2.8mm 〜 1弦:2.3mm

アコースティック             6弦:2.8mm 〜 1弦:2.0mm
                ※フィンガーピッキングのみという場合もうちょい下げてます

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 この数字は僕がいつも使っている数字で、このセットで不具合が出るようならどこかに異常があるという判断の目安にしています。ここからユーザーの希望によって上げ下げしていくのですが、この数字は下げる方向にはあまり余裕がありません。殆どの方が低めの弦高を好むのですがビビるのはイヤな訳で、演奏スタイルや指板R によってはコレが限界になってしまう場合もあります。

 さて、これで今まで自分が使っていた弦高がわかったら、上の数字と比較してみてください。不満が有るか無いかで数字の見え方が違うとは思いますが。

 だいたいどこのお店でも測定の基準点は12F のようですので、このチェックをしておけば修理に出す時等に話が早くなると思います。

弦高調整のあれこれ

※使用工具の詳細は ”必要なツール” のページをご覧下さい

 弦高調整の方法はギターによって異なります。フェンダー系は各弦毎(モデルによっては弦2本毎)に高さ調整のネジがついているのでかなりシビアに調整出来ます(写真1)。ギブソン系はブリッジの両側に付いている円盤状の物を回して上下させます(写真2)。構造上、各弦独立の調整は出来ません。フロイドローズについてはトレモロユニットのページを参照してください。
 ここで、チェック。このギブソン系のブリッジは、永く使っていると変形してくる事があります(写真3、4)。各弦の高さを測ってみて、中央の弦高が低いようなら高い弦のサドルの溝を深くするか、もしくはブリッジの交換が必要です。新品のブリッジは弦の乗る溝が切ってない物もあるのでその場合は修理に預けるのが無難です。

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写真3

写真1

 このようにブリッジ自体が曲がってしまうのはそう珍しくもない。太めのゲージを張っている方は一度チェックしてみるとよい。

 弦を中心にサドルが左右に傾かないように同じ高さにするのがコツ。傾いているとネジが緩みやすく、高さが変わってしまったりネジがガタつく事もある。

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写真2

写真4

 チューニングしたままの状態で回すと少々固い場合がある。面倒でも一旦チューニングを緩めてから行う事をお勧めする。ネジ山も長持ちするしね。

 スケールを当ててみるとハッキリ判る。3、4弦等この隙間分だけ(12F上ではこの半分)弦高が下がってしまうのでビビリが出たりする。

アコースティックの弦高調整

注:必ず初めにナットの状態のページをご覧下さい

 アコギの弦高はネジでチョイチョイという訳にはいきません。ブリッジ側に付いているサドルというパーツを削ったり、ゲタをはかせたり、交換したりと少々手が掛かります。しかもチューニングした状態では作業が出来ない訳ですから、どこをどの位イジればよいのか予め計算しておく必要があります。
 弦高を上げる為にゲタをはかせる(下に薄い板を敷く事  シムを挟むとも言う)なら本体を加工するのではないのでまあよしとしても、下げるのはサドルを削ってしまう為、ある程度の慣れが必要ですのでお勧めはしません。一応、手順だけ記しておきますが、失敗すると交換しなければならなくなるので知っておくだけにとどめてください。
 例えば12f上の弦高を、1弦側0.3mm、6弦側0.2mm下げたい場合に削る量は 1弦側を0.6mm、6弦側を0.4mm です。これは12fがナットとサドルのちょうど中間地点にあるからで、三角形の簡単な計算と思って下さい。要は倍にすればいいのです。この数字をサドルの底面から測って側面に(1弦と6弦が乗る位置に気をつけて)印を付けて線を引きます(写真5,6)。この線をガイドに削るのです。真っ平らな板に#150程度のペーパー(紙ヤスリ)を貼付けてやると平には削れますが、側面と底面が直角になる様な配慮は必要です。(写真7)

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写真5

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写真7

写真6

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写真8

写真10

写真9

 一方、各弦毎の高さの調整はサドル上面で行います。この作業は通常あまり行う事はありませんが、指板のR とサドルのR の違いが気になる時(大抵3〜4弦が高い)にやります。また、特殊なゲージを使いますので、自分でやる場合はあまり精度は求めないほうが良いでしょう。
 まず写真8のように指板のR を確認します。このギターは約 20インチR (約 500mm R)弱、16R(400R )よりはフラットでした。それに対してサドルは14R (350R )とかなりキツいR が付いています(写真9,10)。これだと1,6弦の弦高が適正だとしても3,4弦は少々高く感じるでしょうから、そういう場合は中央部分を削ってR を緩くしてやります。左記の弦高調整と要領は同じ様なもんですが、ガイドラインはサドル側面の平な部分にしか描けないので目安的な役割になります。
 逆に中央部分に限らず、どこかしらが低い場合はシムを挟むよりもいっその事サドルを交換した方が良いと思います。