弦の巻き方 |
||||||||
チューニングが狂うという内容の修理依頼で、よくある原因の一つが弦に関係するものです。弦の品質もありますが、それ以前に巻き方によるものが少なくありません。 ”俺はフロイドローズだ” てなツッコミはやめましょう。 |
||
正しい弦の巻き方 |
||
良くない巻き方 その1 |
||||||||||||
良くない巻き方 その2 |
||||||||||||
理想的な巻き方。基本的に弦は上から下に向かって巻いていきましょう。例外としてナットでのテンション(張りの強さ)を弱める為に逆の巻き方をする方もいますが、それは巻き方に色々な制限が出てくるのをちゃんと解ってやってる事で、基本は上から下です。 |
||||||||||||
L 字に折り曲げる位置は、各弦毎に”この辺”ていう目安を覚えておくと良い。巻く方向を考えて折り曲げよう。1弦の場合2弦のペグ辺りとかそんな程度でいいのだ。 |
||||
フェンダー系のクルーソンタイプのペグは弦の先をペグポスト(巻き付ける所)の先端に開いた穴に差し込んでから巻き始めます。予め長さを決めてカットして、L字型に曲げておくと巻き始めがズレにくいです。その他のペグは巻き始めの余りが一巻き目と二巻き目の間に挟まるようにすると幾分落ち着きが増します。 |
||||
クルーソンタイプとロトマチックタイプの違い |
||
ロトマチックはクルーソンタイプをカスタマイズしたような位置付け。クルーソンのプレスで作られたギアボックスはダイキャスト製に、ブッシュはペグをヘッドの表裏から挟んで固定する為ネジ式に、そしてツマミにはギアのガタを押さえる為のネジが付いている。この他ポストのガタが少ない物等、様々な改良モデルがあってヴィンテージスタイル以外のギターに数多く採用されている。右の画像はポストの比較。 |
||||
”クルーソン(Kluson)”は本当はペグメーカーの社名。フェンダー、ギブソン等に付いていたのでそのギターのコピーモデルの普及と共に国内外のいろんなメーカーが同型のペグを作っている。有名なのは、日本製でゴトー社の物。左は片側6連のフェンダータイプ用。右は両側3連のギブソンタイプ用。ツマミの形はいろんなのがある。ヘッドトップ側の穴に取り付けるパーツをブッシュと呼び、普通は打ち込み式。ペグのスタンダード的存在だ。 |
||||
アコースティックギターのブリッジ側 |
||
アコースティックではブリッジ側にも気を配りたいです。これはチューニング面よりもブリッジ内部やブリッジピンの変形等を少なくする為。最悪ピンを破壊しないと弦が替えられなくなる事もあるので結構大事。 |
||
弦を張った時、ボールエンドが画像の向きになるように穴に通す。弦の先はナット方向に延びているはず。 |
||||||||||||||
対策はごく簡単。弦をピン穴に通す際、画像の様に巻き部分を少しカーブさせるだけ。向きに注意。ボールエンドはこの向きに、更に弦の折り返し部分の出っ張りはなるべくカーブの外側になるようにしよう。 注:アコギの2弦(017等のゲージ)は急に曲げるとポキッと折れてしまう事があるので、控えめに! |
||||||||||||||
このギターの様にピン穴にも溝が掘ってある場合、弦はちゃんと引っかかればピン無しでも外れない。このギターではブリッジピンは穴を塞いでいるだけなのだ。6弦等は巻き部分が太くなってるので、この溝があるとピンへの負担が少なくて良い。 |
||||||||||||||
アコギの場合、ボールエンドはボディートップ裏のブリッジプレートに直接引っかかっているので、ボールエンドの向きによってはピンが変形してプレートの減りが激しくなる。画像左寄りの銀色のボールエンドが1弦でこの向きが理想。ピン、プレート共に負担が掛かりにくい。この写真だと3〜5弦が一番マズイ。ピンの溝にボールエンドの角が入り込んでいるのでピンが変形しやすく穴も広がりやすくなる。穴が広がるとボールエンドはどんどんブリッジプレートにめり込んでいって、弦の折り返し部分がサドルの上に乗っかってしまったりするのだ。いずれ減ってしまうものとはいえ、少しでも永持ちさせたい所なので、弦交換の際に注意しよう。 |
||||||||||||||
巻き残りの処理 |
||
最後にこれはこちらからのお願いでもありますが、はみ出している弦はなるべく切りましょう。左の状態(この位の長さ)が最も危険。薄めのソフトケースの上からうっかりヘッドを掴むとプスッと刺さるのです。ニッパーが届く目一杯(写真右)まで切ってもチューニングには全く影響無いのでご安心を。指先をケガするのはプレイヤーとしては避けたいところ。またコレがイタイんだ。 |
||||||