ネック折れ リペアレポート Part 3 |
||
その5 整形と生地調整 |
||
補強材の接着が終わったら、形状を整える作業に入る。ここはどちらかというと彫刻家のような仕事になるので、センスが問われる所だ。グリップの形をなるべく変えないように、絶えずノギスやスケールを使いサイズの確認をしながら目指す形状に持って行く。 |
||
当方の補強材の接着面の形状について少し触れておこうと思う。前のページでも確認出来ると思うが、接着面はS 字型のカーブを描くように整形されている。一般的なC型の断面を持つブロックを使うと、弦を張った時にヘッドが僅かに反る事で継ぎ目部分の塗膜に線が入ってしまうからだ。 |
||
これでやっと補強という作業が終了。ここで補強というものの性質について僕の考え方を話しておこうと思う。 |
||||||||
その6 塗装 |
||
最後の山場となる塗装作業に入る。ここでのポイントは目隠しと色合わせだ。これまでの作業のほぼ全てに、この塗装段階でこうありたいが為にココはこうしておくといった考えがある。下手するといままでの苦労が水の泡になりかねない所もある最大の難関だ。いや、大げさかも...。 |
||
ここでやってる事はいわゆる目隠し作業だ。いくら補強材に同じマホガニーを使っているとはいえ、削り取った部分と同じ色見や木目が得られる筈もない。不透明色でサンバーストっぽくツブしてしまえば世話ないのだが、それではあんまりなギターだって存在するだろう。 |
|||||
再度目止め。最初の目止めを軽くしておいたのは、ここでの墨入れ効果を高める為だ。塗装後に行う目止めは次に吹く塗料の食いつきを下げそうなので、必要に応じてプライマーなんかも使用したりする。 |
||||||||
色合わせも終了。後はトップコートを残すのみ。生地色の段階で目隠しを終えているので、色合わせは普通のタッチアップと同じ作業といえる。これが不自然さを軽減してくれている。 |
||||
補強材との継ぎ目部分。実物よりデカイ画像でも実物より跡が目立たない。これ写真のマジック? 正直な所、この画像はかなり継ぎ目が判らないように写ってしまった。実物は見る角度が一定ではないからもう少し判る。 |
||||
もうここまでくれば一安心。あとはトップコートで塗装工程はおしまい。完成写真はPart4にて。 |
||