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エイジング

 ここ数年で最も面白い施工がこのエイジング。フェンダー社からは”レリック”、ギブソン社からは”エイジド”という名称で製品化されているので、ご存知の方も多いと思います。要は新しいギターを古く見せる処理です。

 ヴィンテージやオールドと呼ばれる’50年代や’60年代のギターが 1980年頃から再生産されるようになりました。当初は見た感じあまり似ていなかったのが少しずつマイナーチェンジされて、今や”新品”なのにルックスは”ヴィンテージ”そのものというギターが最高級器種として扱われています。これらはカスタムショップと呼ばれ、通常のライン生産モデルとは外見だけでなく設計も違えば材もビルダーも違うのですが、これから紹介させていただくのはそのライン生産モデルにエイジング処理を施した例です。

 このギターはフェンダーUSA ヴィンテージシリーズのカスタムテレキャスターですが、オーナーがショップのスタッフの方だったので店頭にあった新品と比較させていただきました。(写真 1、2)その他の写真は同一ギターの施工前と施工後の比較です。料金は塗装の有無等で変わってくるので、ご相談後お見積もりとさせていただきます。(概ね¥54,000〜¥108,000位)

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1 左のギターも施工前は右の新品とほぼ同じ位の状態でした。

2 ボディー部の比較。全体に打痕とスクラッチ傷等を入れ、金属パーツにも錆や曇りを付けます。ピックガードは元々ミントカラーなのですが、更に着色を施してます。指板も若干黒っぽくしました。ドットもアメ色に着色。画像をクリックすると拡大されます

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3 これが施工前の状態。ほぼ新品同様。ネックは元からアメ色なのに対しボディーはクリアー(色やけしてない)なので、この辺のギャップを無くしてやると良い。その他、ポジションマークのドットやピックガード(元から真っ白ではない)も経年変化を表すいい素材です。

4 施工後。バインディング、ピックガード、ドットポジの色の違いで結構表情が変わります。着色は全体に均等ではなく、多少ムラを付けてます。又、フィンガーボードのローズウッドは’60年代物は酸化してかなり黒ずんでるのでその辺も手をいれてやります。

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5 ヘッドストック裏の比較。ネックはヘッドストック表以外はリフィニッシュしてるので、塗膜はかなり薄いです。ここまで薄いと新品臭さは皆無。色見も若干汚めのアメ色にして、ムラを付けます。

6 ヘッドトップ。ロゴ(デカール)の関係で、表面の研磨と着色くらいしか手をいれられなかったけど、雰囲気は稼げたかな???右の画像をクリックすると別の拡大画像にジャンプします

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7 擦り減って生地が出てしまった状態を作る時は、ペーパーの跡を残さないようにしたり、塗膜との段差が出ないようにします。生地部分は手垢風の着色を。
 こういう雰囲気はオリジナルの塗装では塗膜が厚すぎてリフィニッシュしないと無理。

8 ヘッドからグリップにかけての所は特に色が黒ずむので、その辺も再現してやると”らしさ”が増します。

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9 ストリングガイドとナット。
 細かい所だけどやらないとそこだけ新品みたいで、まるでパーツ交換したかのように見える。特にナットは、現行の製品はキレイに作られているので少々乱暴な仕上がりの方が本物っぽい。
 実際の修理の仕事でこういう仕上がりじゃ怒られちゃいそうだが、ここではOKなのだ。

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10 金属パーツの中でクロームメッキの物は錆ないので、ヘアラインをランダムに入れた後ヨゴレを付けるのみ。ニッケルメッキは軽く錆びさせてから、オイル浸け。

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12 ポールピースは面取り後、着色。ここもサビさせるのはかなりリスクが高そう。その他のパーツにも言える事ですが、サビて使えなくなっては困る部分、可動部等は着色で対応させて頂きました。

11 ここを錆びさせるのは責任持てないので、ホントに軽く。後は着色。

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14 現在のメッキ技術は、昔よりもかなり強靭な皮膜を作れるらしく、ヴィンテージ風の錆かたはちと無理。写真13と同様の処理。

13 サーキット部。現行のカスタムショップ製”レリック”はサンドブラスト風(砂粉吹き付け処理)の曇り方。こちらはヘアラインによる物。前者は使わずに放っといた感じ、後者は使い倒した感じ。

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15 ペグのメッキもこれまた強靭で、そう簡単には地金が出てこない。酸化もしにくいしなんと言っても最も重要な可動部なので、ここはやはり着色。デカールの周り等、ヘッドストックの色ムラにも注目。

16 セルのやけ具合がわかるでしょうか。オリジナルは殆ど着色されてないので、ほぼ真っ白に見えます。色焼けする所、擦れて焼けが薄くなる所などを計算に入れて着色していきます。

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