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フレット交換と指板R変更

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 ギターを弾き始めたばかりの頃、やる事と言えば練習ぐらいしか知らないので、自分の楽器の状態というのは意識してなかった気がする。それが新品で買ったギターならまだしも、お古で貰ったどんな扱いされてたかワカンナいギターであったにも関わらず。
 でもね、今だからこそ切実に思うけど、ホント少なくともセッティングくらいはキチンとされてないと上達のスピードはかなり差が出てしまう。これは効率の問題ね。

 まぁそれでも続けていれば、ちゃんと演奏はもちろん楽器を”道具”として扱うのが上手くなってくる。すると今度はその楽器のセッティング幅なんかに不満が出て来たりして。最も多いのは弦高だろう。

 テクニカルな演奏スタイルを持つ方の多くは低めの弦高を好むが、当然どこまでも下げられる訳ではない。下げれば下げたなりに不具合が出てきたりする。
 代表的症状はビビリや音詰まり等だが、どこまで弦高を下げたらビビるのかというとそれはコンディションによる所が大きい。ネックの反りやフレットの浮きや減り等、いわゆる正常ではない状態が原因だ。

 しかし、全く正常なネックでも設計上の問題で1弦のハイポジションをチョーキングした時に音詰まりや音切れ等の症状が出る事がある。これの原因に関わるのが指板表面に付いている緩やかなカーブ。これを通称 "R" (Radius:半径等の意味)と呼んでいる。

 ここではこの指板Rを変更する作業について解説してみたい。

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 左半分、ピンぼけだった。こちらがbefore。もう取り直しきかないのでゴメンなさい。
 そして右半分がafter。撮影角度がちょっと違ったらしくナット位置があってないが、指板中央部が薄くなったのがお判りいただけるかと思う。

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 上記2点の画像は施工前、オリジナルの指板。左の画像は7.25インチ(約184mm) Rのゲージを当てている。ほぼジャスト。初心者の方の為に補足しておくと、この指板に付いているカーブは半径184mmの円の一部、円弧のようになっている訳だ。

 一方、右の画像は目標値である9.5インチRのゲージを当てた所。両端に隙間が空いているのが判るだろうか? 指板中央を削ってこのゲージがピタッとくっ付くようにRを変えてやるのが指板R変更という作業である。


 で、下が施工後。隙間が無くなっている。ただし、一般的な指板はナット部から最終フレットまでRが同一なのに対し、僕らリペアマンが作る指板面は各弦の直下が真っ直ぐになるように成形するので、結果その形状は円錐指板と呼ばれるものになる。(円錐指板についてはコチラを参照されたし)

 なので、完成したネックの12Fよりも上のポジションは、更にフラットな指板になっているのだ。

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 ちょっと判りにくいかもしれないが、左が1フレット付近のR。9.5では両端に隙間が出来る。7.25では隙間は中央に出来るので、8.5とかそのくらいだと思う。計算上はナット部で7.5くらい。

 右はネックエンド。10インチでわずかだが中央に隙間が出来る。こちらも計算上では10.5くらいのはず。
計算方法についてはコチラを。

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 今回のネックは少々歪みが出ていたので、その辺も併せて修整する。最終的にココ12F近辺が最も削りが少ない場所になった。エッジ部の減りが多少残るが、フレットの乗る部分の整形は出来てるので良しとする。

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 左は施工前のチューニングされたネックの反り具合。ロッドは緩めている。1弦側はまあまあの順反りなのだが、6弦側は大きく反っているのが判る。ロッドを締め込むと6弦側は真っ直ぐに、1弦側は逆反り方向に動いてしまい、ロッドが使いにくくなっている。

 これはロッドの効きがおかしいのではなく、単純に両サイドの歪み具合が異なっているだけだ。なので、この歪み部分を指板修整でちょうど良くすると右の画像のようになる。もちろんロッドも普通に使えるようになっている。

 幸い指板の厚みがローポジション側はハイポジションにくらべて厚めだったので、今回はそちらを多く削る事でバランスをとった。

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 今回使用したフレットはJim/Dunlopの#6105。サイズはW:2.29mm、H:1.40mmと幅の割に高さのある形状だ。スティーブ・ヴァイの使用で有名かもしれない。

 幅が狭いと弦との接触面積も狭くなるので、音はシャープになる。その上で充分すぎる程の高さと硬さがあるので、フィンガリングだけでもしっかりハッキリと音が出るのが特徴。

 普通ダンロップといえば#6100の方が有名だし使ってる方も多いが、#6105も高さは#6100と同じなので、使用感は然程変わらない。弾き心地そのままに、#6100のメタリックな感じよりももっとオーソドックスなトーンを求める向きにはちょうど良いフレットだと言える。

 画像から、かなりRがフラットになったのが判るだろうか。

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 ネックジョイントの角度はあまり付いていなかったので、ボディートップから弦までのクリアランスは少なめ。

 ストラトの場合、高さのあるフレットを打つと設計上どうしてもローポジションのオクターブがキビシくなってくるものなのだが、こういった時の対処法としては ”出来るだけサドルを低くセットする” 事が有効だ。

 その理由を説明するにはスペースが足りないので省くが、このギターの場合はネックアングルが少ないおかげで、サドルはかなり下げめになった。お陰でサドルのイモネジを交換する事になってしまったが。

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 左:通常のイモネジでは頭が飛び出しすぎてかなり邪魔だ。これをすべて1段短い物に交換すると右のようになる。

 それでもまだちょっと出てるが使用感としては問題無いレベルになった。中央4つのサドルに使っているのが1、6弦用の長さで、1、6弦には更に短い物を使っている。

 以上、いかがでしたでしょうか。この変更で演奏性能は格段に上がったと思う。もちろんストラト本来の使用感からは離れてしまうが、弦高が下がりフレットの高さが上がる事で、いままでより少ない力で弾く事が出来るメリットは大きい。

 このギターでは1弦12Fで1.4mmくらいまで弦高を下げられるが、ノーマルのストラトではここまで下げると1弦のハイポジションでのチョーキングは難しくなってくる。指板Rの変更は、ストラトの可能性をあと一歩引き出したいという時に最適の方法だ。

 事実、ストラトを母体としたカスタムギターの多くはフラットな指板を採用している。もちろん僕もオリジナルへの敬意は払いつつ、新しいアプローチには積極的に取り組みたいと思う。皆さんも興味があれば是非お試しいただきたい。音楽表現のツールとして別物のように生まれ変わる筈だ。

今回のチューンアップ料金は

フレット交換     ¥39,960
J/D #6105オプション  ¥5,400
指板R変更      ¥5,400
ナット交換      ¥5,400

合計  ¥56,160 税込み
 

 フレット交換料金(税込み表示)

 1. ボルトオン バインディング無し  ¥39,960〜

 2. ボルトオン バインディング有り  ¥45,360〜

 3. セットネック バインディング無し  ¥45,360〜

 4. セットネック バインディング有り  ¥50,760〜

以上、最低限の指板修整を含みます。

ナットの交換が必要な場合、¥5,400〜 程度別途加算になります。
JimDunlop、ステンレスフレットは¥5,400加算になります。

 ビビリや音づまり等に過度の支障が出る場合や、指板R変更、
ロッドが効かない場合等に別途発生する料金は
通常約¥5,400〜¥10,800程度です。(今回はR変更のみ加算)

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